9月5日

午前 「音の不思議を科学する!」  〈物と音のひびき〉

夏休み明け最初の講義は、大阪府高齢者大学校の音田輝元講師による『「音の不思議を科学する!」〈物と音のひびき〉』です。

音田先生は、小学生に科学は楽しいとの先入観を与え、次のステージにつなげようと、『法円坂子どもプラザ 科学実験ともの作り体験型教室』という活動を10年以上続けておられます。

今日は数十年前の子供たちにも、科学の楽しさを教えてくださいます。ワクワク!

 

 

これが今日のテーマです。

小学生に戻った気持ちで、学習スタート。

早速質問されました。カレッジ生は豊富な人生経験の持ち主である自称小学生ですから、当然音が出ると知っています。

ここから先生の本領発揮。

「じゃあこれは?」

そんな事、今までの生活ではしてこなかったけど・・・

先生の実演。大きなアクションに、小学生と同じようにどんどん引き込まれていきます。

お次は工作。ストロー笛ですって。作るのは簡単ですが、これで音が鳴るの?

「ブー」「フー」次第にあちらこちらから音が聞こえてきました。本当に鳴りましたね。

「じゃあ、この問題はどうですか?」

次から次へと出される質問に、皆さん真剣です。

次は「ワイングラスも楽器になる」です。実際の体験はこの後の小休憩中にしてみましょう。


食器洗い中に体験した人も、知らなかった人も、休憩時間はワイングラス演奏に夢中でした。

後半は『音と振動』から始まりました。いよいよ難しそうな(学校なら完全に目が閉じてくる)テーマなのに、「次は何が出てくるのだろう」と先生の動きに注目です。


「じゃあこれは?」

早く試してみたくてウズウズしています。「ホントや」「きれい」の声がそこら中から聞こえました。


次はどんな音が聞こえるのか、音田マジック(科学の不思議)にますます吸い込まれていきました。

これはおもしろい!

『ノートルダム寺院の鐘』『ミラノ大聖堂の鐘』『東大寺の鐘』・・・不思議な音が次々に登場、すべて100均にある調理器具から出てきました。適当に名前を付けたのではなく、専門家の監修によるものだそうです。

そういわれるとそうなのか?ともかく楽しかったです。

風鈴に『振動の節=ならない部分』が必ずあるとは知りませんでした。

トライアングルにもあるのですって。


最後はサンダードラゴン。管の中にバネをぶら下げるだけですが、この振動が雷のような音を出す。

早速YouTubeで調べました。

科学がこんなに面白いなんて。

音田先生、ありがとうございました。


午後 アレルギーについて

午後は森本耳鼻咽喉科病院長の森本浩一先生による、「アレルギーと頭頸部癌」についての講義です。

森本先生は耳鼻咽喉科ですが、頭頸部外科および喉頭・音声の専門家であられます。また大東市出身で、江見DRと付き合いの長い方です。

アレルギーといえば、アレルギー性鼻炎。そしてスギ花粉症。

スギは戦後の植林政策により、日本全土に植えられたため、日本人の約半分はスギ花粉症に悩まされています。

今やどの世代でも発症するのだそうです。

では、もはや日本の国民病でもある花粉症の治療法は?

それは、やはり『対処療法』です。

しかし、徐々に注射治療や根本的治療が出てきて効果を上げているようです。

 

まず『対処療法』の代表的な薬が『抗ヒスタミン剤』。脳に入ると眠たくなるのですが、この副作用が少ない薬の開発が進んでいます。

また日本は経口薬が主流ですが、欧米では点鼻薬が多いようです。点鼻薬にはステロイドが含まれますが(ただし高価)、全身に回らず鼻だけだと安心だそうです。

 

 

根本的な治療につながるのは『免疫療法』。これまでは、アレルギー反応を抑える治療が主でしたが、花粉やダニなどのアレルゲンは「身体の敵ではない」と身体に思わせていく治療法だそうです。残念ながら今の日本では、スギだけに対応しているようで、ヒノキへの対応はこれからだそうです。

また、元々喘息やアトピーの薬であったオマリズマブ/ゾレアという薬も高価ながら活躍しているようです。これからも益々研究が進むようで、花粉症に悩まない時も近づいているのではないでしょうか。

なお、点鼻薬で血管収縮剤が入っているものは(わりと安価)使い過ぎに気を付けるようにと注意がありました。

次は森本先生の専門である『頭頸部癌』についてです。

やはりがんは日本の死亡者数のトップだそうです。

ただ、口腔・咽頭がんは少なく、特に喉頭がんは非常にまれながんだそうです。また女性は喉頭がんにはなりにくいそうです。

口腔とは口の中、歯科の領域です。咽頭・喉頭とはその奥、声帯に病変が出てくると喉頭がんの疑いが・・・


喉頭がんになる原因は、やはり『たばこ』。

声帯自体は非常に小さいので、内視鏡による検査が必要です。初期症状は声がれ。

内視鏡を口よりも鼻から入れるのは、患者の苦しさを考えると、原理的には正しいのだそうですが、噛まれてつぶれるのを防ぐためだとの本音もチラリ。

喉頭がんはちゃんと治療(手術)すれば、命を取られることはありません。

つんくさんは、声は失いましたが現在も活動しておられます。

なんでも早期発見、早期治療が大事です。

いくら『まれながん』といっても、

がんはがんです。

地元の先生から医療の現状をお聞きできたこの時間は、とても有意義でした。

森本先生、本日はお忙しい中、貴重な講義をしてくださりありがとうございました。